★サッカーダイジェスト掲載記事サッカーダイジェスト連載加藤久のサッカーのツボ(Vol.84) 掲載:『週刊サッカーダイジェスト(平成17年7月26日号)』 結果よりも変化を誉めてげる 子どもだけでなく 大人にも当てはまる指導の原理 佐賀県鳥栖市にあるVALENTIAというサッカークラブの代表であるSさんは、幼児から中学生までのサッカースクールとサッカークラブを運営しています。 そのSさんのところへ、沖縄の中学生を連れて試合に行きました。6月11日、12日の土日を利用した遠征は、沖縄の子どもたちにとっては島の外に出る数少ない機会です。 T市は人口5万人の街と聞きましたが、この街のサッカーグラウンドは“素晴らしい”のひと言です。まるで絨毯のようなグラウンドに、沖縄の子どもたちも感激し、ボールを蹴る楽しさを満喫していました。 12日の午後に、Sさんのスクールの中学生と試合をしましたが、Sさんは現場にいてもそれほど多くの声を掛けていませんでした。しかし、選手たちはとてもひたむきにプレーします。指導者に何か言われるのではなく、自分の意志でサッカーをしている、そんな感じなのです。 自分の意志でプレーする--それは当たり前と言えば、当たり前のことなのですが、中学生の年代は、指導がしっかり行き届いていないと、何をやるにもコーチの指示を待つという特徴が見られます。 一方で、このクラブの子どもたちは、しっかりと動機付けられていると感じました。 沖縄に帰る飛行機の時間が迫っていたので、Sさんとはじっくり話をする時間がありませんでしたが、自宅に戻ってから、Sさんが運営しているホームページを覗いてみました。 『監督Sのサッカー指導ドットコム!』。 このホームページは、大変面白くできています。 また、非常に勉強になります。 いろいろためになることが書かれているのですが、私は指導のポイントとして、「“結果”よりも“変化”を誉めてあげる」というフレーズに目がとまりました。 子どもの指導をする時には、子どもの変化を誉める。これにはヒザを打 つ思いでした。 「なるほど、ちょっとした変化を誉めてあげれば、子供たちはもっとやる気を出すはずだ。」 私は、その後沖縄でこの“変化”に目をとめるようにしました。 そうすると、子どもたちの良さが、今まで以上に見えてくるのです。 “変化”を発見して声を掛けてあける。すると子どもたちの目がどんどん輝いていきました。 結果が出るまで待つ必要がありませんから、私と子どもたちはこれまで以上にコミュニケーションを取れるようになりました。 Sさんのページには、次のように一文もありました。 「上司や親、コーチなど、指導する立場にいるひとたちはには、見通す力が必要です。見通すことができる人は、常に時間軸を持って人と接しています。どういうことかというと、目先の状況だけで判断するのではなく、今までの状況を考えて、これからの見通しを持てるということです。・・・(途中省略)・・・今すぐに結果が出なくても、小さな変化を大切にしていけば、良い結果が得られるということを分かっているのです。」 実に平易な文章で、分かりやすく指導の要点を解説してくれていますので、少年を指導されている方には、とても参考になるのではないかと思います。 それにしても、Sさんの文章は、現場に出ている人でなければ書けないものだと感じました。 実践を通じて得た、生きた知恵だからこそ説得力があるのでしよう。 私が見たSさんのチームの子どもたちは、変化を誉められているのだろう、ということが容易に想像できました。 子どもも大人も、「認められたい」という思いは同じですから、この原理は、大人の指導にも役立てることができます。 「誉めることと、おだてることは違う。本人がよくなかったと感じているのにおだてられても、心にプラスの感情は生じない。」 これも、確かに真実だと思います。 ジャンル別一覧
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